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2007年01月23日

●よもやま話「大前田英五郎(田島栄五郎)の妹婿」

  前橋市の文化財指導員は、受け持ち地区の決められた文化財を毎月見回り、現況を報告するのが主な仕事である。その中の一つに「大前田栄五郎の墓」が含まれている。

  栄五郎の墓地は、生家からかなり下がった所の、鬱蒼と茂った森の中にある。墓地の西側崖下には東神沢川が流れている。そんな事からか、この辺り一帯を川東と呼ぶ。生家の西側には、中世の砦跡(大前田砦・打出)の遺構がそのまま残っており、往時を偲ぶ事ができる。

  この墓地は、田島家の本家・分家(栄五郎家)の墓地であり、本家の墓石群は南側に、そこには数基の無縫塔が見られる。両家とも、金剛寺の檀家であった関係からその足跡を知る事が出来た。

  本家は修験道の家であったのだろうか、無縫塔には「法印」の戒名が刻まれていた。その他、北側に一基、完全な形をした宝篋印塔がある。田島家の当主の話によれば、三夜沢赤城神社参道松並木を寄進した「川東彦兵衛」の墓石であると…田島家の先祖と…??

  私見だが、その墓石はそんなに古く無いと思う…多分、江戸中期…のものだろう。彦兵衛が松を寄進したのは、慶長17年の事である。それと、この墓地の敷地の形状からすると、砦の一角の可能性も否定出来ない…。と同時に、ここには中世の五輪塔が無い、江戸初期から墓地になったと思われる。ただ北側の辺りに土饅頭の様な盛り上がりが数ヶ所あり、興味を惹かれた。誰かの墓地なのだろうか?? 発掘したい様な衝動に駆られる場所である。

  さて本題に戻るが、毎回巡視している関係で、一族の墓石を眺めていたら、苗ヶ島邑 喜兵衛倅俗名田嶌万蔵行年三十五歳と刻まれていた。苗ヶ島邑・喜兵衛?? 何処の家の倅だろう?? と興味が湧いてきた。

  帰宅後、浅田晃彦氏の著書「上州遊侠 大前田栄五郎の生涯」を開き見たら、万蔵の姓は長岡と記されていた。早速、過去に調べて於いた村内(苗ヶ島)各家の墓地の墓石配置図と金剛寺の過去帳等を照合し、長岡姓なら権皆戸(ゴンガイト)では…と考え、各家の墓石配置を見ていたら、先ず喜兵衛の墓石が見つかり、次ぎに、この様に刻まれた墓石がある事が判明、「文化七年申天二月十五日 現香春縁信士 長岡外治郎 十二才 施主大前田村田嶌信太郎」と刻まれていた。信太郎とは万蔵の息子の名である。万蔵の父、喜兵衛は文政十二年十二月初八日に没していた。

  長岡家は当時、苗ヶ島610番地(現東宮眞氏宅)に居住していたが、現在の子孫は苗ヶ島209番地に転住している。何時の時代であるか分からないが、敷地は東宮六郎治が買い受け所持していたらしい。権替戸には後二軒家があったが、共に長岡姓を名乗っていた。一軒は607番地・長岡重次郎(旧称要右衛門)・現石橋友代宅であり、もう一軒は612番地・長岡継次郎(旧称利右衛門)・現前原勇市宅である。喜兵衛宅は610番地・長岡喜市郎(旧称喜右衛門)であったが、その全ての家が転住して、その子孫は住んで居ない。喜兵衛の子孫は最近迄、旧跡地との交流を続けていたらしい。山街道薬師の氏子に組みしていた事、併せて、下田中薬師の氏子としても…。近年、秋葉様(金剛寺横)迄が遠いので、山街道薬師については離れたいと言っていたと、権替戸の人が言っていた。

  長岡家の本家は現平田孟子宅付近にあり、享保7年の五人組帳には苗ヶ島一番の財産家であった記録が残っている。「おびんずる様」も長岡家の管理していた所であり、我が家との姻戚関係が記録されている。享保時代に隠居・分家した家が下田中の長岡茂樹家である。そして、先祖の故地の近くに戻って家を構え、長岡本家の墓を守って居るのが、長岡規夫さんである。

  前記の信太郎には子供が無く、又、村の萩原家に入ってしまい、田島家を継がなかった。そこで、栄五郎は関村(新里)の岩崎家から弥太郎を養子に迎え、田島家を継がせる。弥太郎の養子が荘次郎氏(旧姓東宮、元宮城村長)であり、その息子が清一郎氏(故人・元宮城村長)である。

  栄五郎の葬儀は信太郎が執り行い、導師は金剛寺住職寛運師であった。栄五郎を金剛寺の庫裏に隠したのも当家の仲介であり、栄五郎の戒名の「歓」の字の許諾と良い、深い深い関係を知る事が出来たのは収穫であった。

 

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[大前田栄五郎の墓]

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コメント

たまたまこの文章を見てびっくりしました。これを調べ挙げたのは私の従兄弟でしょうか。私も石材店に勤めてるので、是非祖先の墓碑は見て見たいです。

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